増刊号 診断基準とその使い方
IV.肝・胆・膵
10.体質性黄疸
小笠原 孟史
1,2
,
瀧野 辰郎
1
1大津市民病院・消化器病センター
2京都府立医科大学・第3内科
pp.1861-1863
発行日 1988年9月30日
Published Date 1988/9/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402221923
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
■疾患概念と疫学(表1,2)
体質性黄疸は先天性のビリルビン代謝異常により血中ビリルビンの上昇した状態で,溶血,肝細胞障害,胆道閉塞が関与しないものである.黄疸出現の機序には,肝細胞におけるビリルビンの摂取,抱合,移送,排泄の機構になんらかの先天的な欠陥が存在するものと考えられている.血中に増量する優位ビリルビンの型により,診断基準に上げている病型に分類されている.各病型はこのほかに,遺伝形成,色素代謝,ビリルビン抱合酵素の活性,肝細胞内色素顆粒の有無,予後などにより特徴づけられている.
1974年までの全国集計で,報告例はCrigler-Najjar症候群I型(CNJ-I)は1例のみ,II型は24例,Gilbert病は238例,Dubin-Johnson症候群(DJS)は298例,Rotor症候群(Rotor)は93例である.世界ではCNJ-1が約70例報告されている.Gilbert病は欧米では人口の3〜7%にあるといわれている.遺伝形式はCNJ-Iでは血族結婚が多く,CNJ-IIも家族内発症が多い.Gilbert病は常染色体優性と考えられ,DJSおよびRotorは常染色体劣性と考えられている.
Copyright © 1988, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.