Japanese
English
Bedside Teaching
不完全左脚ブロック
Incomplete Left Bundle Branch Block
寺沢 富士夫
1
,
倉持 衛夫
1,2
,
蔵本 築
1,2
,
村田 和彦
1,2
Fujio Terasawa
1
,
Hideo Kuramochi
1,2
,
Kizuku Kuramoto
1,2
,
Kazuhiko Murata
1,2
1浴風会浴風園病院
2東京大学医学部第3内科学教室
1Yokufukai Geriatric Hospital
23rd Department of Internal Medicine, Faculty of Medicine, University of Tokyo
pp.311-318
発行日 1969年4月15日
Published Date 1969/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404202015
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はじめに
心室内の興奮伝導障害のうち,脚ブロックは心電図上よく知られている特徴的な心室群波形を示し,これら波形は実験的に田原脚左脚あるいは右脚を切断したさいにみとめられるものに似ている。しかしながら,脚ブロック心電図を呈する人の症例で,田原脚の主幹,または左脚あるいは右脚,さらにその主要分枝のどの部分に,いかなる病理解剖学的傷害が,どの程度に存在するのか,あるいはまた,さらに末梢のPurkinje線維の分布する心室部位の傷害が関与しているかなどについては必ずしも十分に明らかではない。とくに,左脚の如く広い分布を有する構造物(図1)を問題とするさい,心電図波形認識から得られる興奮伝導の杜絶ないし遅延という機能異常と形態学的変化の対応を考えることはなかなか困難である。「不完全左脚ブロック」という名称に関しても事情は同様であって,さらに「完全」に対する不完全という語の有する内容の漠然としていることも考慮して,人について,左心室内伝導障害の機能的および病理解剖学的検討が十分になされるまで,かかる名称を用いないのがよいとする見解のあることをはじめにお断りする。
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