増刊号 診断基準とその使い方
I.循環器
13.弁閉鎖不全
吉川 純一
1
1神戸市立中央市民病院・循環器センター内科
pp.1710-1714
発行日 1988年9月30日
Published Date 1988/9/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402221868
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■僧帽弁逆流の重症度の診断基準
僧帽弁逆流の重症度の評価には,表1に示すような左室造影法によるSellersらの診断基準が広く用いられている.この診断基準ば,左室内で注入した造影剤の左房内への移行で僧帽弁逆流との診断を行い,その濃度の程度により逆流の重症度を4段階に半定量化しようとするものである.現在まで血管造影法以外に信頼すべき重症度の診断法がなく,僧帽弁逆流のみならず大動脈弁逆流の重症度診断のgolden standardとして,血管造影法が用いられている.
しかし,本法には
1)左心機能や血圧
2)造影剤の量や注入速度
3)カテーテルの種類・位置
4)心臓カテーテル時に発生した不整脈
などによって,逆流の重症度が影響を受けるという問題点が存在する.また本法は,観血的であり,合併症を引き起こす可能性があるため,気軽に繰り返して行えない.
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