増刊号 診断基準とその使い方
I.循環器
2.心筋梗塞(いわゆるNon-Q Myocardial Infarctionを含めて)
高野 照夫
1
,
木内 要
1
1日本医科大学付属病院・集中治療室
pp.1678-1679
発行日 1988年9月30日
Published Date 1988/9/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402221859
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急性心筋梗塞の治療はCCUと冠動脈内血栓溶解療法の普及により著しく進歩した.とくに後者は本症の根本的治療法である梗塞巣救出にあり,時間の制約を受けるので,発症後できるだけ早期にこれを行う必要がある.したがって,より早い正確な診断が要求される.また本症では持続性胸痛の発症は臨床的に冠動脈閉塞の指標となるが,胸痛の発症と心電図変化との間には時間差がある.これには急激な冠動脈閉塞による心筋反応や側副血行路の発達の違いと,かかる状態に対応する血行動態が大いに関係しているという.近年,わが国でも心筋梗塞を含む虚血性心疾患による死亡率は増加傾向にあるが,すでに米国では1940年代より本症発症の危険因子についての疫学的解明が開始され,Framingham StudyやWHOでは虚血性心疾患患者の背景となるものは高血圧,高脂血症,喫煙,耐糖能異常,肥満,家族歴であると指摘した.
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