今月の主題 白血病とリンパ腫
白血病・リンパ腫の発生
待井 隆志
1
,
木谷 照夫
1
1大阪大学微生物病研究所付属病院・内科
pp.8-9
発行日 1988年1月10日
Published Date 1988/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402221465
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ヒト白血病・リンパ腫の発生をめぐる最近の話題としては,成人T細胞白血病(ATL)の病因ウイルスとされるHTLV-1(human lymphotropic virus type 1)の発見,および癌遺伝子を中心とする発癌機構の検討が挙げられる.HTLV-1の発見は臨床医に腫瘍ウイルスの存在を身近に感じさせるとともに,他方,腫瘍ウイルスによる細胞の癌原遺伝子(cellular proto-oncogene;c-onc)の活性化は,従来特殊な現象とみられがちであったウイルスによる白血病・リンパ腫の発生が普遍性をもつことを示唆している.
本稿では,腫瘍ウイルスを中心に,ヒト白血病・リンパ腫の発生に関与する諸要因を述べる.
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