検査と主要疾患・8
白血病・悪性リンパ腫
中島 弘二
1
1山口大第3内科
pp.930-931
発行日 1973年8月15日
Published Date 1973/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542908194
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正常骨髄では図1-1のごとく正常顆粒球,赤血球,血小板の増殖,成熟が行なわれ末梢血中に供給される.慢性骨髄性白血病では異常に増殖した骨髄球は骨髄内で過形成となり末梢血中に出現,白血球増加症を呈す。染色体分析でPh1染色体がみられる.白血球増多症,Ph1染色体,骨髄過形成,好中球アルカリホスファターゼ低下,ときに尿酸血症,血清リゾチームの増加がみられ貧血,血小板増加がみられる.急性転化は骨髄中に未熟芽球が出現,増加することにより図1-3の急性白血病と同様の像を呈するがPh1染色体は急性転化後にもみられる.急性転化により急激に症状は増悪し治療法は急性白血病に準じ,治療が全く異なる.急性転化の早期発見,早期治療は非常に重要であり,慢性骨髄性白血病診断後,治療中は検査の主力を急性転化の早期発見に重点をおき,定期的な骨髄穿刺,末梢血検査が必要である.急性白血病では図1-3のごとく骨髄内での寿命の比較的長い白血病細胞の異常増殖,末梢血への出現増加により診断に当たっては白血病細胞の同定による.特殊染色が役だつ.骨髄は白血病細胞に占領されて正常の造血機能は営めず結果として末梢血中において赤血球減少,正常顆粒球減少,血小板減少がみられ,そのための貧血,感染発熱,出血傾向が起こり症状は重篤となる.
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