今月の主題 免疫不全とAIDS
後天的免疫不全症
医原性免疫不全症に伴う感染症の治療
渡辺 一功
1
1順天堂大学医学部・内科
pp.2717-2719
発行日 1987年12月10日
Published Date 1987/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402221438
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近年は医療の進歩により,薬剤および治療法に基づく宿主側の機能障害が重要な問題としてとりあげられてきており,これらは医療に基づく副作用や副現象として医原性(iatrogenic)と総称されている.さらにこの医原性と総称されているのは単に副作用または副現象のみでなく,これが原因となって新しい疾患が誘発されることを指している1).螺良ら2)はこの医原性免疫不全をきたす原因を表1のごとく,(1)免疫担当臓器を切除した場合,(2)放射線治療による免疫抑制,(3)薬剤による免疫抑制,(4)薬剤による免疫抑制および骨髄抑制をあげており,医原性免疫不全は続発性免疫不全の誘因となる基礎疾患ならびに病態の重要な地位を占めている.医原性免疫不全は液性免疫不全,細胞性免疫不全,好中球機能不全などが複雑にからみあい続発性不全をきたし,通常は表2に示すごとく病原体により日和見感染のかたちで発症することが多く,医原性免疫不全では,一度免疫不全としての症状が出現してからでは感染症は致死的であるので,その予防対策と管理が治療にもまして重要である.
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