今月の主題 免疫不全とAIDS
先天的免疫不全症
原発性免疫不全症と悪性腫瘍
崎山 幸雄
1
1北海道大学医学部・小児科
pp.2702-2704
発行日 1987年12月10日
Published Date 1987/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402221434
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原発性免疫不全症(primary ID)の悪性腫瘍による死亡率は正常人の年齢相応に比して10〜200倍とされており,中でもリンパ網内系細胞の悪性腫瘍が好発することが知られている.このことは免疫の仕組みにおける欠陥が悪性腫瘍の発症に密接な関連を有する可能性を示唆しており,従来より以下のような考えがなされている.1)持続する,あるいは過剰な抗原刺激が免疫担当細胞自体の発癌遺伝子を活性化する.あるいは免疫担当細胞以外の細胞の増殖に関与する因子を産生する.2)免疫の欠陥が異常な増殖過程を制御できない.すなわち免疫監視機構の欠陥が存在する.3)Ataxia telangiectasiaに代表されるprimary IDでは存在する遺伝的欠陥が免疫不全と悪性腫瘍発症の両者の基因になっている.
ここではImmunodefiiciency-Cancer Registry(ICR)の最近の報告を中心にprimary IDにおける悪性腫瘍について概説することにしたい.
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