増刊号 これだけは知っておきたい薬の使い方
Ⅵ 腎疾患治療薬
合併症としての腎障害
157.SLE腎症の薬物治療
中林 公正
1
,
前村 千穂子
1
1杏林大学医学部・第1内科
pp.2142-2143
発行日 1987年9月30日
Published Date 1987/9/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402221277
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SLEの腎障害(SLE腎症,ループス腎炎)は,免疫複合体が糸球体や細小動脈の血管壁に沈着することにより,糸球体炎や血管炎が発症して生じる.ループス腎炎の臨床症候の特徴は,無症候性の血尿や蛋白尿のみの症例から,ネフローゼを呈するほどの多量の蛋白尿を排泄する症例,急速に腎機能の悪化をきたす急速進行性腎炎まで多彩なことである.
また,腎組織像も,糸球体病変として,微少変化型,メサンギウム増殖型,巣状増殖型,膜性増殖型,膜性型,硬化型が存在し(WHO分類I〜IV型),免疫複合体の沈着も,メサンギウム領域,内皮細胞内,糸球体基底膜内,上皮細胞内に認められる.腎の間質の病変としては,壊死性血管炎や,血管壁,尿細管基底膜に免疫複合体の沈着を認めることがある.
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