増刊号 これだけは知っておきたい薬の使い方
Ⅴ 消化器疾患治療薬
消化性潰瘍および類縁疾患
125.消化性潰瘍治療薬の選択
岡崎 幸紀
1
1山口大学医学部・第1内科
pp.2058-2061
発行日 1987年9月30日
Published Date 1987/9/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402221245
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薬物療法の比重
消化性潰瘍の治療は,その成因論とともに変遷してきたといってよい1).近年では,SunとShayのバランス説が広く受け入れられ,治療法としては攻撃因子の抑制と防御因子の増強に力が注がれた.安静,食事療法,薬物療法が3原則とされ,とくに薬物療法は攻撃・防御両因子のバランスの是正が主となり,結果として多剤併用療法が主流となった.
ところが,強力な酸分泌抑制薬であるヒスタミンH2受容体拮抗薬(H2ブロッカー)の登場により,これまでの治療法の概念は崩壊した.H2ブロッカーの単独投与で,従来の治療法にはるかに勝る消化性潰瘍の治癒が得られるようになり,しかも,入院と外来で治癒率の差がなくなり,食事もゆるやかな制限でよいことになった.薬物療法の比重がきわめて高くなったことになる.
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