増刊号 これだけは知っておきたい薬の使い方
Ⅴ 消化器疾患治療薬
消化管運動異常
124.慢性便秘の薬物治療
酒井 義浩
1
1東邦大学大橋病院・消化器診断部
pp.2055-2056
発行日 1987年9月30日
Published Date 1987/9/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402221244
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薬物療法の前に
便秘をきたす原因は多岐にわたる.腸管運動のみに問題がある場合と,腸内容通過を機械的に妨げる因子が存在する場合とがある.また,全身性疾患に由来することも知られている.したがって,原因を明らかにしないまま安直に薬物療法が開始されてはならない.ことに器質的異常の有無に関しては検索が不可欠であり,内視鏡が第1選択される1).これと並行して,食事や排便の習慣,嗜好,運動,睡眠などの生活態度や社会的背景について把握されていることが望ましい.全身性疾患の検索は,中枢神経系,内分泌機能,代謝,膠原病,各種中毒にまで及ぶべきであろう.また,併存する疾患の治療薬剤が腸管運動に抑制的に働くものもあるので,聴取しておかなければならない.
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