今月の主題 肝・胆・膵疾患の画像診断
各検査法の進歩と限界
胆・膵画像診断のすべて
RI検査—胆道系
牧 正子
1
,
山﨑 統四郎
2
1東京女子医科大学・放射線科
2放射線医学総合研究所・臨床研究部
pp.1194-1197
発行日 1987年7月10日
Published Date 1987/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402221010
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放射性医薬品
胆道シンチグラフィには,古くは131I-ローズベンガルや131I-BSPが用いられていた.1970年代に99mTcで標識した種々の化合物が開発され,被験者の被曝の軽減とよりよい画像が得られるようになり,再び胆道シンチグラフィに対する関心が高まった.胆道シンチグラフィ用放射性医薬品に求められる条件としては,①血中から肝への摂取が速やかで高率であること,②肝から胆道系への移行が速やかであること,③尿中排泄率が低いこと,④高度黄疸例でも肝に摂取され,胆道系に移行すること,などがある.
現在用いられている99mTc標識物には,99mTc-iminodiacetic acid(IDA)系と99mTc-pyridoxylidene amino acid系とがあり,その主なものを表1に示した.血清ビリルビン値が,99mTc-HIDAでは5〜6mg/dl,99mTc-PIでは7〜8mg/dlを越えると,これらの放射性医薬品は肝への摂取が不良となり,胆道機能の評価は困難となる.またこれらは,尿中排泄率も比較的高い.99mTc-BIDAは血清ビリルビンが30mg/dlでも胆道系の描出は可能であり,尿中排泄率も低いが,肝から胆道系への移行が遅い.99mTc-PMTは99mTc-BIDAには劣るが,かなりの高ビリルビン血症例でも肝への摂取はよく,胆道系の描出が可能であり,肝から胆道系への移行は速やかであり,尿中排泄率は低い.
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