講座 図解病態のしくみ 内分泌代謝疾患・13
糖尿病の慢性合併症
岩本 安彦
1
,
吉岡 成人
1
,
松田 文子
1
,
葛谷 健
1
1自治医科大学・内分泌代謝科
pp.314-323
発行日 1987年2月10日
Published Date 1987/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402220823
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糖尿病患者では長い経過中に種々の合併症,併発症が起こり,頻度,重症度,特異性に差はあるものの,病変はほとんど全身の各臓器に出現しうる.表1に糖尿病性合併症と糖尿病に必ずしも特有ではないが比較的併発しやすい疾患を列挙した.これらのうち糖尿病性網膜症,糖尿病性腎症,糖尿病性神経障害は高頻度にみられ,糖尿病性トリオパチー(diabetic triopathy)と総称される.糖尿病性慢性合併症の基本的病変は血管障害ということもできる.障害の起こる血管により細小血管症(microangiopathy)と動脈硬化症(大血管症macroangiopathy)に分けられるが,前者が糖尿病に特有の病変と考えられており,糖尿病性網膜症と糖尿病性腎症はその代表的なものである.動脈硬化症には心血管障害,脳血管障害,末梢動脈疾患などが含まれ,糖尿病患者に多く,予後や死因と関連して重要であるが糖尿病に特有のものではない.
本稿では糖尿病患者にみられる慢性合併症のうち,糖尿病性トリオパチーと,糖尿病性壊疽について解説する.
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