連載 助産婦のための臨床薬理・12(最終回)
妊娠合併症—糖尿病
柳沼 忞
1
1東京大学医学部付属病院分院産婦人科学
pp.260-264
発行日 1985年3月25日
Published Date 1985/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611206614
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薬を投与する時は2人(母と胎児)の管理が必要
一般に薬が患者に投与された時には,薬本来の作用による症状の変化やその薬の副作用を十分に監視することは,助産婦や看護婦の大きな役割である。薬を妊婦に投与する場合には,前にも述べたように,同時に2人に投与することになるので,監視の範囲は広くなり,何か起こった時に,すぐには救うことのできない胎児の存在により,予想されうる薬の効果について,さらに注意深い観察が必要になる。このためには,薬についての知識と,薬が与えられねばならない母体の病態生理を十分に理解しておかねばならない。
このように妊婦に薬が投与されねばならない時は,大部分妊婦に内科的疾患が合併した場合である。今月は,このような場合の一つである,糖尿病の母児の病態生理と母児への薬の影響について述べよう。
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