カラーグラフ リンパ節疾患の臨床病理
ホジキン病
茅野 秀一
1
,
片山 勲
1
1埼玉医科大学・第1病理
pp.117-120
発行日 1987年1月10日
Published Date 1987/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402220777
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ホジキン病(Hodgkin's disease)は,いわば"古くて新しい病気"である.リンパ系腫瘍性疾患の歴史は,1832年Thomas Hodgkinが,系統的リンパ節腫脹と脾腫を伴い,悪液質で死亡した7症例を報告したことに始まる.以後,症例の蓄積・解析が進むにつれて,このようなリンパ系疾患群から白血病と現在の非ポジキンリンパ腫に相当するリンパ肉腫・細網肉腫が独立疾患として分離された.その残りのなかに特異な形態を呈する細胞(spezifische Zellen)の出現を特徴とする疾患群があり,これはSternbergによってリンパ肉芽腫症(Lymphogranulomatosis)と呼ばれた.現在,ホジキン病と呼ばれるものはこのリンパ肉芽腫症に相当し,spezifische Zellenのうち多核のものはReed-Sternberg細胞(RS細胞),単核のものはHodgkin細胞(HD細胞)と呼ばれることが多い.
悪性リンパ腫は,ポジキン病と非ポジキン病とに2大別されるのが一般的である.しかし,最近の急速な免疫学の進歩が非ポジキンリンパ腫研究に数々の成果をもたらしたのに対して,ホジキン病に関しては腫瘍組織中に出現するリンパ球・組織球が非腫瘍性・反応性のものであることが確立しているものの,疾患の本質に迫る腫瘍細胞(RS細胞・HD細胞)の起原については未だ不明な点が多く残されている.
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