臨時増刊特集 図解 診療基本手技
Ⅳ 診療手技
A 注射法と輸血・輸液
57.輸液
和田 孝雄
1
1慶応義塾大学医学部・腎臓センター
pp.2406-2409
発行日 1986年12月15日
Published Date 1986/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402220716
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
患者へのアプローチ
図1に示すように,われわれは来院時に患者のhistoryを聞きだすことによって,現時点にいたるまでのバランス状態を知ろうとする.これは出納簿の収支計算にあたる.しかしその計算の裏付けとして,手元にある現金の状態も把握しておく必要がある.この現金勘定にあたるものが身体所見(status presens)である.この両者は家計簿においては完全に一致することが要求されるが,診療行為ではなかなか完全にはいかない.そこに臨床家の勘といったものが入ってくるのである.
入院治療が開始されると,バランスシートによって収支計算がより正確に行われるが,これのみに頼りすぎて失敗することがよくある.これは現金勘定を無視したための失敗である.身体所見だけでなく,血液その他の検査所見も現金勘定のほうに入る.
Copyright © 1986, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.