今月の主題 感染症の動向と抗生物質
院内感染のマネージメント
敗血症
増田 剛太
1
,
水岡 慶二
2
1東京都立駒込病院・感染症科
2東京都立駒込病院・臨床検査科
pp.1674-1677
発行日 1986年10月10日
Published Date 1986/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402220560
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敗血症は,今日における感染症として最も重篤なものの1つである.本症は血液疾患,担癌生体や,各種免疫抑制剤などが使用され,感染防御機能の著しい障害を伴う宿主(Compromised host)に発症し急激な臨床経過を示す病型と,心弁膜障害や心奇形を有する個体に発病して感染性心内膜炎の形をとる古典的な敗血症の2病型に大別される.いずれの病型にあっても,その本態は血液感染(Blood stream infection)であり,検出菌をみると,前者での今日における最大の菌種はグラム陰性桿菌(Gram-negative rod;GNR)であり,さらにCandidaをはじめとする真菌やグラム陽性球菌(Gram-positive coccus:GPC)の検出数の増加が指摘されている.また,後者ではGPCとくに緑色連鎖球菌(緑連菌)が現在でも検出率の第1位を占める.
本稿では,これら敗血症について,その原因菌,病態生理,抗生剤療法などに関する最近の知見にも触れて話を進めてみたい.
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