一冊の本
いま改めて看護とは—日本看護協会出版会編,小玉香津子・他訳,1984
中木 高夫
1
1滋賀医科大学・第2内科
pp.1637
発行日 1986年9月10日
Published Date 1986/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402220549
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21世紀を間近に迎えようとして,医学・医療がどのように変わるのかを考えることは大変興味深いことです.研究により新たな知見を得,医学・医療固有の領域で先進医療が発達することは想像に難いものではありません.しかしながら,医療が人間を対象とし,その人間が社会性をもった生き物である以上,医療もまた社会からの影響をうけることも自明のことです.
医療の対象が比較的若い人で急性疾患が中心であった時代では,病気を治す医学が中心にありました.しかしながら,老人の慢性疾患,つまり治らない病気が中心になってくる21世紀では,いままでのような医療は次第に中心から逸れて行かざるを得なくなることでしょう.また,プライマリケアのための医師養成が軌道にのり,プライマリケアを行うことのできる医師が増えれば,疾病の予防活動が実って,急性疾患を対象とするような医療は次第にその比率が減少して行くことでしょう.
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