今月の主題 狭心症—各種治療手段の適応
薬物療法
狭心発作時の処置
桜田 春水
1
,
本宮 武司
1
1都立広尾病院・循環器科
pp.1508-1509
発行日 1986年9月10日
Published Date 1986/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402220521
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狭心発作の発生機序
狭心症とは,心筋における酸素の需要と供給の不均衡によりもたらされる一過性の心筋虚血からなる胸痛を主症状とした病態であり,成因としては,冠動脈の器質的狭窄や,冠動脈の攣縮が主体を成す.冠動脈に高度の器質的狭窄があると,労作や精神的興奮により心筋の酸素需要が増加した際に,それに見合うだけの冠血流量が得られなくなり,狭心症が生じる.これが,労作性狭心症例における狭心発作の主な発生機序と考えられるが,運動により,冠血管のトーヌス亢進が生じる場合もあり,労作性狭心症例においても冠動脈攣縮の関与が考慮される.また,心筋の酸素需要の増加が存在しない場合にも,冠動脈の攣縮により冠血流の減少や途絶が生じると,供給不足により狭心症が出現する.安静時狭心症や異型狭心症では,このことが,狭心発作の発生機序と考えられるが,このような狭心症例にも,冠動脈の器質的狭窄の合併していることが少なくない.すなわち,労作時,安静時いずれにも狭心発作の見られる例のみならず,多くの狭心症例で,冠動脈の器質的狭窄と攣縮が相互に関与していることが推測される.
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