今月の主題 アルコール障害
臓器障害の成り立ち—なぜ起こるのか
循環器障害—アルコール性心疾患を中心にして
小川 剛
1
,
野口 祐一
1
1筑波大学臨床医学系・内科
pp.428-429
発行日 1986年3月10日
Published Date 1986/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402220259
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慢性アルコール中毒が臨床的に心機能低下をもたらすことは多数の研究者により報告されている.アルコールによる心疾患について1979年New York HeartAssociationは,「慢性アルコール中毒の経過中に不整脈,心拡大,あるいは心不全が出現するが,他に心疾患の原因を認めず,禁酒により症状が消失するもの」と定義した.さらに近年アルコールと高血圧,虚血性心疾患ならびに脂質代謝との関係についても注目されている.一方,アルコールによる心疾患の発現機序はいまだ明らかではないが,エタノール自身あるいはその代謝産物が重要な役割を果たすとの報告がある.
ここではアルコールの心・血管系に及ぼす影響について,特にアルコール性心疾患の発現機序,ならびに臨床所見の特徴を中心に述べる.
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