アルコールによる臓器障害・11
アルコールと循環器障害
小出 直
1
1東大・第2内科
pp.1583-1587
発行日 1974年12月10日
Published Date 1974/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402205706
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
臨床的な状況では,アルコールの影響が純粋な形で現れる場合はまずない.酒類に含まれるエチルアルコール以外の成分,食餌の貧弱なことや消化器障害に伴う栄養障害,種々の理由による水・電解質異常,エチルアルコールの代謝産物であるアセトアルデヒドの作用,ことにカテコールアミン分泌の促進などの影響が複雑に重なるのが常である.飲酒に伴う心臓障害の概念が,19世紀半ばにまで遡る歴史を持ちながら1),その実際的な重要性に比べて不当に無視されていたのも,複雑な要因のために疾患単位を確定しがたかったことが最大の原因である.以下,臨床的な立場から,飲酒に関連した循環器障害の種々相を解説する.
Copyright © 1974, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.