特集 職業病から作業関連疾患へ
作業関連疾患
アルコール性疾患
大本 美彌子
1
Miyako OHMOTO
1
1東邦大学医学部衛生学
pp.691-696
発行日 1992年10月15日
Published Date 1992/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401900665
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1976年のWHO総会においてwork-related diseaseの概念が提示され,作業に直接的関係を有する従来の職業性疾患から,発症の直接原因が非職業性のものであっても作業に伴う健康阻害要因によって悪化する症候群を指す場合にも「作業関連疾患」の語を用いることがあるとした.1985年WHO専門委員会は,公認されている職業病だけでなく作業環境や作業動作が原因因子の1つとして重要な関わりをもつ他の障害を表す場合にも適しているとした1).WHOのE1.Batawiは「作業関連性」を考えるときに家庭生活や余暇も含め,生活全体の中で労働のあり方を考えることの重要性を示している.1979年のWHO総会では,勤労者の健康が家族と地域の福祉における主要な要因であることが指摘され,世界的にも,幅広くかつ積極的に労働と健康の関係をとらえようと試みられている2).
1987年ILO/WHO合同委員会は極めて一般的な,しかし勤労者の健康にとって極めて重要であるにもかかわらずあまり注意が払われていない,いくつかの疾患(慢性非特異的呼吸器疾患,心血管疾患,筋骨格系障害)について検討すること,これらについて作業関連病因を同定し定量化するための疫学的研究の必要性を提示している3).
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