感染症メモ
緑膿菌敗血症
袴田 啓子
1
1東京都済生会中央病院・内科
pp.162-163
発行日 1986年1月10日
Published Date 1986/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402220200
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緑膿菌は依然として癌患者にとって重要な病原菌である.有効な抗生物質が存在するにもかかわらず,今だに死亡率が高い.白血病の患者において通常合併する感染症の起因菌であることはいうまでもなく,近年では強力な化学療法のため固形癌の患者においてもしばしばみられるようになった(表1).
緑膿菌感染症をもつ患者にはいくつかの因子がある.まず原病としては血液悪性疾患(とくに白血病)があり,通常感染症発症時に白血球減少症を伴っていることである.緑膿菌は院外感染で起因菌となることは稀であり,入院時に感染症の存在するときには,退院直後の再入院でない限り緑膿菌は考えにくい.院内においては,Bodeyらの報告によれば,緑膿菌敗血症患者の51%は,発症に先行して他の感染症に対して抗生剤治療を行っていたという.
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