臨時増刊特集 エコー法の現況
Ⅲ トピックス
74.2-Dドプラ法の末梢血管への応用—特に頸動脈と肝内・肝近傍血管の血流観察
尾本 良三
1
,
高本 真一
1
,
鋤柄 稔
1
1埼玉医科大学・第1外科
pp.2488-2491
発行日 1985年12月1日
Published Date 1985/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402220110
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
リアルタイムドプラ断層心エコー図法1,2,3)は簡単にドプラ断層,2-D Doppler, color flow mapping,あるいは2-Dドプラなどと呼ばれているが,現在,きわめて急速に普及しつつあるリアルタイムの血流映像法である.さて,ドプラ断層は,その開発の当初においては,心内あるいは大血管の血流映像化をめざしたものであった.今日までに各種の後天性心疾患4),先天性心疾患5),また大動脈瘤6)への応用が熱心に行われ,その結果からドプラ断層の診断的な有用性がすでに確認されている.
一方,ドプラ断層の末梢血管への応用にはまだ不十分な点があった.一般的にいって,周波数は従来2.5または3.5MHzが主として使われていたことや,セクタ型探触子に伴う浅い部位の血流映像化における不利な条件などが,本法の末梢動脈への応用を制限してきた.一方,原理的に本法では,遅い血流の映像化に問題があった.3.5MHzを使用して,血流とビーム方向との角度が60°のとき検出可能な最低流速は20cm/secとなる.このような不利な条件を少しでも改善する目的で,幾つかの工夫がドプラ断層システムに加えられた.そのうちの主なものは,5MHzを実用化したこと,それから従来のセクター型の他に,convex型のトランスジューサを開発したことである.
Copyright © 1985, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.