臨時増刊特集 エコー法の現況
Ⅱ 診断と治療への応用
A 心エコー法
19.感染性心内膜炎
中村 憲司
1
,
椎名 哲彦
1
,
菊池 典子
2
1東京女子医科大学日本心臓血圧研究所・循環器内科
2東京女子医科大学日本心臓血圧研究所・超音波検査室
pp.2210-2214
発行日 1985年12月1日
Published Date 1985/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402220055
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感染性心内膜炎(Infective Endocarditis;以下IE)とは弁膜に感染巣を有する敗血症のひとつである.その感染巣の基本的なものは,疣贅として示されるが,他にIEの病変として,心筋膿瘍,細菌性動脈瘤や弁組織の破壊によるflail valveなどが挙げられる.
この疾患に対する超音波検査法の有用性は,IE病変の種類と発症部位の診断とともに,非侵襲的に左室機能の推定が可能なことである.しかし,IEは前駆疾患を有することが多く,リウマチ性弁膜症や僧帽弁逸脱症,肥大型心筋症,僧帽弁輪石灰化,大動脈弁二尖弁などの先天性,変性心疾患を常に頭に入れておかねばならない1).これらの疾患の肥厚した弁(正常弁に比較してエコー輝度が強い)に上記のIE病変,とりわけ疣贅が発症した場合,どこまでが疣贅で,どの部分がもとからの弁病変か,その鑑別が極めて難しい.
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