今月の主題 生体防御と感染症
日和見感染症
肺炎
舟田 久
1
1金沢大学医学部付属病院・高密度無菌治療部
pp.1982-1983
発行日 1985年11月10日
Published Date 1985/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402220013
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肺炎にみる日和見感染の特徴
基礎疾患と日和見病原体
肺炎は日和見感染症のなかで最も高頻度にみられるものの一つで,細菌,真菌,ウイルスや原虫と,多岐にわたる平素無害な日和見病原体が原因になりうる.基礎疾患の種類や病期,さらに抗癌剤や免疫抑制剤による治療が加われば感染を起こしてくる病原体に変化がみられるものの,全体としてグラム陰性桿菌が最も多い.急性白血病や悪性リンパ腫では,寛解導入期の顆粒球減少に伴って緑膿菌,クレブシエラ,大腸菌などのグラム陰性桿菌や黄色ブドウ球菌†の感染がみられ,この減少が持続すればアスペルギルス,カンジダやムコールの感染を合併しやすい.多発性骨髄腫では,液性免疫不全に伴って肺炎球菌†やインフルエンザ菌†などの有莢膜菌の感染が多い.寛解維持療法中の急性白血病,悪性リンパ腫,末期癌,臓器移植,尿毒症,後天性免疫不全症候群(AIDS)やHodgkin病では,細胞性免疫不全を背景にサイトメガロウイルス,ニューモシスチス,クリプトコッカス,非定型抗酸菌,ノカルジアの感染がみられる.
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