演習 —内科専門医による—実践診療EXERCISE
呼吸困難/高齢者の頭重感
相馬 一亥
1
1北里大学医学部・内科
pp.1479-1482
発行日 1985年8月10日
Published Date 1985/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402219894
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
58歳,男性.農業.15年前に感冒様症状出現とともに安静時に喘鳴を伴う呼吸困難出現.近医に入院し,胸部X線などより肺気腫と診断された.約1ヵ月の入院で完全軽快し,呼吸困難は消失.以後,感冒様症状は年数回出現したが,そのたびに喘鳴が出現していた.2年ほど前より臥位になると呼吸がなんとなく苦しく,痰が出しにくくなった.側臥位,坐位では痰が無理なく出せた.そして受診2日前に痰に血が混じているのに気付き,本院を受診した.これまでに労作性呼吸困難,胸痛,関節痛,体重減少などはなかった.タバコ歴はなし.
診察:身長170cm,体重65 kg,体格・栄養は良.体温36.5℃.太鼓バチ状指あり.黄疸,貧血なく,表在リンパ節触知せず.吸気時に陥凹呼吸あり.呼気延長明らかでない.胸郭は左右対称で,動きは良好.全肺野で吸気・呼気性喘鳴聴取するが,気管上部で強い.心音は正,腹部,四肢には異常なく,神経学的にも異常は認められない.
Copyright © 1985, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.