今月の臨床 ここが聞きたい 産婦人科外来における対処と処方
II. 内分泌
[更年期障害(ホルモン補充療法)]
45.めまい,頭重感を主な症状とする更年期障害の対処と処方について教えて下さい.
米田 直人
1
1日生病院産婦人科
pp.483-485
発行日 2003年4月10日
Published Date 2003/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409100986
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
1 診療の概説
めまいや頭重感を主訴に産婦人科を受診する患者にはしばしば遭遇する.しかしながら,表11)のごとく更年期障害にだけ特徴的に出現する症状ではないので,患者の訴える症状が本当に「更年期障害」であるのかの診断をきちんとしておく必要がある.
まず,卵巣機能の状態を月経の状態や血中のFSHやE2濃度で確認する.次に更年期に発症しやすいめまいや頭重感が主訴となる器質的疾患について除外する.貧血などの血液疾患,血圧異常・不整脈などの心疾患,脳腫瘍,メニエール病などの耳鼻科的疾患が考えられる.稀ではあるが褐色細胞腫などの内分泌疾患も同様の症状を訴える場合がある.しかし器質的疾患の除外診断のためにすべての検査を行うことは実際的ではないので,ていねいな問診や観察が重要である.また家庭や社会環境などの心理的要因が関与している場合も多い.さらに,更年期障害と診断して治療を開始したあともこうした器質的疾患や心理的要因の存在には注意しておく必要がある.
Copyright © 2003, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.