今月の主題 抗炎症剤の進歩と使い方
非ステロイド剤最近の動向
選択的プロスタグランディン合成抑制剤
小林 絢三
1
,
荒川 哲男
1
1大阪市立大学医学部・第3内科
pp.1212-1213
発行日 1985年7月10日
Published Date 1985/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402219836
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アスピリン,インドメサシンなどの非ステロイド性抗炎症剤(non-steroidal anti-inflammatory drugs;NSAID)は,種々の臓器炎症に対して繁用される薬剤であるが,その主目的の抗炎症効果とは裏腹に胃粘膜病変が発生することはよく知られている.
最近,新しいNSAIDが続々と開発されつつあるが,その抗炎症作用はともかくとして,副作用である胃粘膜病変は一向に減少の兆しはない.しかし,新しいNSAIDのある種のものは,その抗炎症作用はインドメサシンに比して遜色がなく,逆に胃粘膜傷害作用が弱いことが明らかにされつつあることからも,NSAIDの作用機序の解明とも平行しつつ,こうした新しいタイプの薬剤の開発はきわめて望ましいことと考えられる.本稿ではNSAIDによる胃粘膜病変の発生機序についての新しい知見〔とくにプロスタグランディン(PG)との関連など〕と,胃粘膜傷害の弱い,選択的PG抑制剤なる概念が適応できる新しいNSAIDについて解説する.
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