B型肝炎の新たな治療展開
B型肝炎ウイルスの基本的理解のために B型肝炎ウイルス増殖機構の概論
小池 克郎
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1北里大学北里生命科学研究所 分子ウイルス学研究室
キーワード:
DNA
,
肝炎-B型
,
B型肝炎ウイルス
,
B型肝炎表面抗原
Keyword:
DNA
,
Hepatitis B
,
Hepatitis B Surface Antigens
,
Hepatitis B virus
pp.617-622
発行日 2007年10月1日
Published Date 2007/10/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2007346138
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B型肝炎ウイルス(HBV)の持続感染は、肝癌の発症に深く関係している。血中のS抗原が陽性である持続感染者(キャリア)では、非感染者と比べ、100倍以上も肝癌発生率が高い。ウイルスDNAは感染後核内に移行し、一本鎖部分がポリメラーゼによって修復され、閉環状二本鎖DNAとなり、これを鋳型として3.5kbプレゲノムRNAが合成され、ポリメラーゼとともにコア粒子中にパッケージされる。その中で、マイナス鎖DNA-プラス鎖DNAが合成され、最終的には、開環状二本鎖DNAが合成される。この過程で、コア粒子はエンベロープでくるまれ、細胞外に分泌される。現在、ウイルス複製酵素を標的にした直接的な阻害薬の開発に加えて、免疫担当細胞の活性化といった観点からの、新しい薬の開発も行われている。いずれにしても、HBVの感染と増殖メカニズムの理解が、その基本となっている。
©Nankodo Co., Ltd., 2007