講座 図解病態のしくみ 腎臓病・5
腎炎発生の免疫学的機序
西 忠博
1
,
野坂 和男
1
,
黒川 清
2
1東京大学医学部・第1内科
2東京大学医学部・第4内科
pp.947-953
発行日 1985年5月10日
Published Date 1985/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402219771
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ヒトの糸球体腎炎の大部分,および間質性腎炎のあるものは,免疫学的機序により発症するという仮説は,過去4分の1世紀,現在に至るまで,多くの修正を加えられながら発展してきた5).これに寄与してきた主な要因として,1)腎生検の普及,2)各種の実験腎炎モデルの作製,3)螢光抗体法(IF),酵素抗体法のような免疫組織学的手法や,電子顕微鏡(EM)による超微形態学の発達,4)免疫複合体,自己抗体,補体などの免疫学的パラメーターの検出法の進歩,などが挙げられる.すなわち,1)により得られる多彩なヒト腎炎の様々な時期の腎組織や患者血清と,2)による実験腎炎モデルの同様のものとが,3),4)による手法によって観察,測定され,対比されることによって,腎炎の免疫学的機序,とくに抗原抗体反応を中心とする理論が組み立てられてきたのである.
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