今月の主題 免疫反応と臓器疾患
免疫機構と応答
リンフォカインの役割
西原 利治
1
,
杉山 知行
1
,
大西 三朗
1
1高知医科大学・第1内科
pp.788-792
発行日 1985年5月10日
Published Date 1985/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402219736
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生命の誕生以来生体は呼吸,摂食というエネルギー代謝の面で常に外界に開かれており,外的な種々の刺激に曝されそれに順応し,内的環境の恒常性を維持すべく進化してきた,このような種々の刺激に対して生体の恒常性を保つための代表的な機構の一つにT細胞,B細胞,マクロファージ(Mφ)など約1012の細胞集団からなる免疫細胞系がある.免疫細胞系では各種細胞間の相互作用を基本機構として,複雑に連関した免疫担当細胞間のネットワークが形成されており,あたかも全身に張りめぐらされた神経系のように,種々の働きを異にする細胞間の相互作用により,抗原特異的,あるいは非特異的な系を介して正および負の両方向に巧妙に調節されている(図1).これらの細胞相互間の免疫情報の伝達には自己認識を必要とする系としない系がある,たとえばMφによる抗原提示作用のように,自己認識を必要とする系においては抗原提示細胞と感作リンパ球が直接に接触し,互いに自己抗原を認識しあいながら抗原に対する情報の交換を行うのに対して,後述するような自己認識を必要としない系においてはホルモン様の液性因子の産生放出と,そのレセプターへの結合を介して免疫情報の伝達が行われることもある.
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