今月の主題 慢性閉塞性肺疾患(COPD)
治療の進歩
人工呼吸管理
中田 紘一郎
1
Koichiro Nakata
1
1虎の門病院・呼吸器科
pp.2666-2667
発行日 1984年12月10日
Published Date 1984/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402219538
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対象疾患と適応基準
呼吸管理の対象となる疾患の種類に関して,米国では慢性閉塞性肺疾患と薬物中毒が,わが国では,肺結核後遺症が多くを占めている.筆者らの成績では,表1のように肺結核後遺症が最も多く,次いでびまん性汎細気管支炎,肺気腫症などの慢性閉塞性肺疾患(以下COPD)と,気管支喘息,特発性間質性肺炎などである.
COPDは他疾患に比し,高齢者が目立つが,その離脱率は,びまん性汎細気管支炎83%,肺気腫症70%と予想外に良好である.Ventilator装着前の血液ガスからみると(図),呼吸不全はPaO2の低下,AaDO2の開大を主とし,02-CO2ダイアグラムの左下方に位置する特発性間質性肺炎に代表される低酸素血症群hypoxemic typeとPaCO2の上昇とともにAaDO2の開大も伴う高炭酸ガス血症を伴う低酸素血症群ventilatory failure with hypoxemiaに大別されるが,COPDの急性増悪による呼吸不全は後者に属し,肺気腫症はPaO236±9torr,PaCO272±9torrであり,びまん性汎細気管支炎はPaO242±12torr,PaCO277±17torrである.
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