臨時増刊特集 これだけは知っておきたい検査のポイント 第3集
XIII.細胞診
183.呼吸器系の細胞診
早田 義博
1
,
加藤 治文
1
Yoshihiro Hayata
1
,
Harufumi Kato
1
1東京医科大学・外科
pp.2548-2551
発行日 1984年12月1日
Published Date 1984/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402219504
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呼吸器系の細胞診の目的と限界
呼吸器系は鼻腔,口腔から肺末梢に至る範囲を占めるが,ここでは気管,気管支,肺領域の細胞診について述べる.細胞診は病巣より脱落した細胞,病巣表面の擦過細胞,あるいは直接病巣の中を穿刺して得た細胞について検索するもので,喀痰細胞診,病巣擦過細胞診,病巣穿刺細胞診(経皮的針生検,経気管支鏡的針生検)があげられる.細胞診は従来,悪性腫瘍の疑われる場合に行われてきたが,昨今,肺の良性疾患(良性腫瘍,サルコイドーシス,結核,Pneumocystis cariniiなど)にも行われるようになってきた.
肺の悪性疾患には,肺癌以外に転移性肺腫瘍,非上皮性悪性腫瘍がある.非上皮性悪性腫瘍の診断は,悪性との診断は得られるが,組織型までの推定は困難なことが多い.肺癌では,分化の高い場合は組織型の判断は容易であるが,低分化な腫瘍ではその判定に悩むことが多い.また,肺癌の細胞診は診断のみならず,これによって各種治療経過における細胞の変化から治療結果の判定,あるいは治療法の選択も可能である.
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