今月の表紙
呼吸器系感染症の細胞診
古田 則行
1
,
都竹 正文
1
,
坂本 穆彦
2
1癌研究会附属病院細胞診断部
2東京大学医学部病理学教室
pp.500
発行日 1994年6月1日
Published Date 1994/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543902042
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呼吸器系疾患に対する細胞診は,主として腫瘍性疾患,特に悪性腫瘍を対象とすることが多いが,感染症の細胞診も,肺炎,肺機能不全の原因を検索するうえで重要な位置づけにある.病原性を有し,その形態から細胞診でも同定可能なものとして,真菌では,アスペルギルス,クリプトコッカス,ブラストマイセス,ムコール,ヒストプラズマ,コクチディオイデスなどがある.本邦ではブラストマイセス,ヒストプラズマ,コクチディオイデスをみる機会は少ない.また,日和見感染を起こすものとしてカンジダがある.原虫としてはニューモシスチス・カリニがあり,化学療法後の患者,末期癌患者,自己免疫疾患,後天性免疫不全症候群(AIDS)などの免疫不全状態にある患者に続発することがある.
寄生虫症として,肺吸虫卵,糞線虫虫体,小型条虫虫体などがあるが,いずれも本邦ではまれなものとなった.
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