臨時増刊特集 これだけは知っておきたい検査のポイント 第3集
Ⅻ.細菌検査
180.感受性試験の読み方
舟田 久
1
Hisashi Funada
1
1金沢大学医学部第3内科・高密度無菌治療部
pp.2536-2537
発行日 1984年12月1日
Published Date 1984/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402219501
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ディスク法とその問題点
感染症の治療において,薬剤感受性試験は原因菌に対して抗菌力をもつ適切な抗菌剤を選ぶ手がかりとなる.一般に,感受性ディスクを用いる拡散法が多数の抗菌剤の中から原因菌に有効なものを選び出す最も簡便なスクリーニング法である.もっとも,薬剤感受性が一定条件下で希釈法により求めた最小発育阻止濃度(MIC)で表現されることも多い.このMIC値は,菌株(種)間ないし薬剤間の抗菌力比較,耐性菌比率の年次推移,さらに抗菌剤療法モデルの解析に欠かせない.しかし,MIC値が原因菌の生体における感受性を必ずしも反映するわけでなく,またこれがなくても原因菌に有効な薬剤の選択が可能である.本稿では,ディスク法による感受性試験の読み方を中心に述べる.
ディスク法は,被検菌を塗布した平板培地に一定量の抗菌剤を含む濾紙片(感受性ディスク)を置き,一定時間の培養後ディスク周囲の菌の発育阻止円の有無や大小から菌の薬剤に対する感受性を知る方法である.現在,国産の感受性ディスクには,3濃度ディスク,1濃度ディスク,モノディスクの3種類がある.前2者のディスクを用いた場合,感受性は+++(きわめて感性),++(かなり感性),+(やや感性),-(耐性)の4段階に区分される.
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