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増刊号 緊急報告すべき検査結果のすべて―すぐに使えるパニック値事典
Ⅰ 生化学
カルシウム〔Ca〕
calcium
山内 一由
1
1筑波大学大学院臨床医学系疾患制御医学専攻
pp.758-760
発行日 2011年9月15日
Published Date 2011/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543103278
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検査の概要
血中カルシウム(Ca)レベルは厳密な調節機構により,極めて狭い範囲にコントロールされているが,病的破綻に伴って,ひとたび極端な増減が起こると,生体に致死的なダメージを与えることになる.したがって,臨床検査室からのパニック値報告は緊急処置を促す意味で極めて重要である.
カルシウムは生体内に最も多量(成人の総量は約1kg)に存在する無機物であり,そのほとんどはヒドロキシアパタイトの結晶をつくって骨や歯などに含有されている.一方,体内を循環している血中のカルシウムは,総量の1/3,000足らずで(約300mg),アルブミンを主体とした蛋白結合型とイオン型がそれぞれ45~50%,酸結合型が数%の割合で存在している.このうち,生体内で生理活性を発揮し,生命維持にかかわる重要な役割を果たしているのはイオン型カルシウムであり,その病的変動を捉えることが臨床的に重要であるが,実際には汎用自動分析装置で測定が容易な血清総カルシウムから,間接的にイオン型カルシウムの変動を捉えているのが一般的である.血清総カルシウムの測定法には,o-クレゾールフタレインコンプレクソン(o-cresolphthalein complexon,o-CPC)などを用いたキレート比色法やα-アミラーゼなどを用いた酵素法などさまざまあり,それぞれの方法の特性を熟知し,検査値の精確性の維持に努めることが,パニック値報告を実質的に機能させるための前提条件といえる.加えて,血清アルブミン値など血清総カルシウム値を変動させる因子を考慮して結果を判読する能力も求められる.
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