臨時増刊特集 これだけは知っておきたい検査のポイント 第3集
Ⅵ.血液検査
50.フィブリノゲン
中村 克己
1
Katsumi Nakamura
1
1鳥取大学医学部・検査部
pp.2208-2209
発行日 1984年12月1日
Published Date 1984/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402219371
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フィブリノゲンは血漿蛋白の中でも重要な成分をなし,分子量は約34万と大きい.その生理的機能には血液凝固作用をはじめ,血液粘性,炎症反応での生体防御作用に関与するなど数多くのものが考えられている.生理的にフィブリノゲンの生成が主として肝で行われていることはよく知られているが,その分解機序については明白でない.フィブリノゲン濃度は稀に先天性に減少(欠乏)している場合があるが,一般には後天性に血管内凝固症候群(DIC)などの凝固・線溶機転のほか,炎症,外傷,悪性腫瘍などの種々の病態下での産生ないしは消費の亢進に左右される.
これらの量的異常のほかに質的異常として異常フィブリノゲン血症があり,これには先天性分子構造異常に基づく場合と肝障害などに伴う場合があるが,これらは(とくに前者は)稀であるので,ここでは量的異常を中心に述べることにする.
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