講座 Oncology・9
抗腫瘍剤使用時にみられる副作用
北原 光夫
1,2
Mitsuo Kitahara
1,2
1東京都済生会中央病院・内科
2慶応義塾大学医学部・内科
pp.1667-1671
発行日 1984年9月10日
Published Date 1984/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402219228
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抗腫瘍剤を投与するうえで注意すべきことは副作用である.抗生物質,たとえばペニシリンでは抗菌作用と人間の細胞への副作用との差が非常に離れており,therapeutic indexが広いという.アミノ配糖体(ゲンタマイシン)では副作用を示す血中濃度は12μg/ml以上であり,一般にゲンタマイシン3〜5mg/kg/dayの投与量では血中濃度は4〜8μg/mlである.ゲンタマイシンはペニシリンに比べて,はるかにtherapeutic indexが狭くなっている.抗腫瘍剤はtherapeutic indexがさらに狭く,腫瘍細胞に対して効果があると同時に,正常細胞にも強力な影響を及ぼし,骨髄抑制,脱毛などのさまざまな副作用がみられる.
急性にみられる副作用は,速い速度で分裂している組織に最も顕著に現れる.たとえば,骨髄抑制,消化管への副作用(粘膜の脱落),脱毛があげられる.また,血管の外に漏れた場合,多くの抗腫瘍剤は組織にとって強い刺激作用をもち,組織の壊死を招く.
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