新生児・乳児の対症看護シリーズ 乳児におこりやすい病気
消化器疾患
渡辺 悌𠮷
1
1東京逓信病院小児科
pp.17-22
発行日 1967年12月1日
Published Date 1967/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611203489
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Ⅰ.まえがき
消化器症状には嘔吐,下痢,便秘,腹痛,食欲不振,腹部膨満,嚥下困難その他があげられるが,これらは単に消化器の疾患だけでなく,消化器以外の全身的あるいは局所的な病気によってもしばしばおこりうる症状である.乳児期の消化器症状についてももちろん他の年齢と共通点が少なくないが,他方この時期には,消化器の諸機能の未発達にもとづくいわば生理的な消化器症状や,腸管の先天奇形による消化器症状のように,他の時期にはみられない特殊な原因によるもの,あるいは乳児下痢症のように年長児や成人の下痢性疾患とは原因や症状において多くの相異点を有するものなど,診療上あるいは看護面において特別の考慮を必要とするこの時期だけの特徴もまた少なくない.さらに食餌環境の上からも,乳児期は乳汁のみに依存する生活から離乳完成までの,特殊なそして変化の多い時期である.
以下,乳児期に遭遇する機会の多い消化器症状とその取扱いについて,この時期の特殊性に重点をおいて解説してみたい.
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