今月の主題 新しい栄養療法
各種疾患における栄養療法
癌治療の際の栄養管理
山本 政勝
1
Masakatsu Yamamoto
1
1関西医科大学・外科
pp.72-73
発行日 1984年1月10日
Published Date 1984/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402218860
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癌が宿主の栄養状態を乱すか否かは,癌腫の悪性度や進行度の他に局在部位によっても左右される.一般に甲状腺,乳腺,子宮や肺の癌ではかなりの進行癌でも宿主の栄養が低下することは比較的稀であるが,消化器癌でもとくに上部消化管や肝,胆,膵の癌腫では進行度がすすむにつれて栄養も低下する傾向がみられる.
上部消化管癌の栄養低下の主因は食思不振に基づく摂食量の低下といった飢餓因子によるもので,この際にはTPNなどの強制栄養による改善も可能であるのに対して,肝胆膵癌では進行度や悪性度にまつわる代謝上の諸因子も関与していて,強制栄養のみによる改善効果は期待薄とされ,他の策を講ずる必要がある.
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