臨時増刊特集 問題となるケースの治療のポイント
VI.肝・胆道・膵疾患
薬物療法のポイント
113.抗ウイルス剤によるB型慢性肝炎治療の展望
鈴木 宏
1
Hiroshi Suzuki
1
1山梨医科大学・第1内科
pp.2338-2340
発行日 1983年12月1日
Published Date 1983/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402218654
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
B型慢性肝炎に対して抗ウイルス剤として使用されているものにはインターフェロン(IFN)とAdenine arabinoside(Ara-A)がある.IFNはすべてのウイルスの増殖抑制作用があるが,Ara-AはDNAウイルスに対してのみ増殖抑制作用が認められており,B型肝炎ウイルス(HBV)はDNAウイルスの1種であるので,B型慢性肝炎に対して使用されている訳である(これらの薬剤は1983年12月末現在,わが国ではまだ市販されていない).
IFNには,IFN-α(白血球由来),IFN-β(線維芽細胞由来)およびIFN-γ(リンパ球由来,免疫IFN)の3つがあるが,わが国ではまだIFN-αとβが臨床に使用されているに過ぎない.現在は,IFN-αは白血球,IFN-βは培養線維芽細胞から精製しているため,量に制約があるが,遺伝子工学による大量生産に成功しているので,将来は容易に大量を使用できると考えられる.
Copyright © 1983, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.