臨時増刊特集 問題となるケースの治療のポイント
IV.循環器疾患
手術後の症例の管理
82.冠動脈バイパス術後例の管理
村上 暎二
1
,
竹越 襄
1
,
金光 政右
1
Eiji Murakami
1
,
Noboru Takekoshi
1
,
Seiyu Kanemitsu
1
1金沢医科大学・循環器内科
pp.2260-2261
発行日 1983年12月1日
Published Date 1983/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402218623
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冠動脈バイパス術後の管理については当然のことながら,バイパスgraftのpatencyをいかに長く保つかに集約される.Graftの閉塞による狭心症の再発や,心筋梗塞への移行とそれに伴う不整脈や心機能不全などの重大な合併症の出現は術後のmortalityに大きく関与するからである.このバイパスgraftの閉塞防止策としては大別して2点が考えられる.第1には抗凝血薬と抗血小板剤による血栓形成防止法であり,第2には動脈化された静脈グラフトの硬化防止のための各冠危険因子のコントロールである.前者は血液成分の面から、後者は血管壁の面からそれぞれgraft閉塞を防ごうとの試みである.しかし,実際には,これらの治療を中心として抗狭心症薬の各種が併用されるのが通常であり、硝酸塩化合物,Ca++拮抗剤およびβ-遮断剤などの単独および併用療法が行われる.以上の観点から,現在筆者らの行っている冠動脈バイパス術後の管理のうち主として薬物療法の実際をまとめたい.
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