今月の主題 血小板の臨床
血小板の臨床
血小板放出異常症
藤村 欣吾
1
,
蔵本 淳
1
Kingo Fujimura
1
,
Atsushi Kuramoto
1
1広島大学原爆放射能医学研究所・臨床第一(内科)研究部門
pp.1686-1688
発行日 1983年10月10日
Published Date 1983/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402218465
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□放出反応の概念
血小板の生理機能である止血作用が円滑に行われるためには,血小板粘着能,放出能,凝集能が重要である.多くの機能を有する血小板は放出の面からは分泌細胞と考えられ,刺激に反応して顆粒より各種の内容物を放出する.貯蔵顆粒には大別すると濃染顆粒(dense granule,DG),α顆粒(α-specific granule,α-G),ライソゾーム顆粒の3種類があり,形態学的にあるいは貯蔵内容物によっても差違が認められている(表1).これら顆粒および内容物の多くは巨核球から血小板が生成される段階ですでに形成されている1).
刺激の種類や作用濃度によって,これらの顆粒の放出態度に差があることが示されている.ADP,エピネフリン(EP),低濃度トロンビンにおいてはDGからのADP,セロトニン等の放出が生じ,α-Gに存在する内容物の放出は伴わず,アスピリンやインドメサシンで抑制されるのに対し,高濃度トロンビン,コラゲン,A23187ではDG,α-Gの内容物が放出され,前者に比し顆粒の変形,消失が強く,プロスタグランジン系の抑制剤では抑えられない2).時間的にもDGからの放出はα-Gのそれよりも早期に起こり,ライソソーム酵素を含む顆粒の放出はさらにあとになる2).
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