誌上シンポジウム 医学教育を考える—より優れた臨床医の教育のために
米国の家庭医教育からみた日本のプライマリ・ケア教育の問題点
木村 隆徳
1
Takanori Kimura
1
1伊予病院
pp.1394-1397
発行日 1983年8月10日
Published Date 1983/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402218401
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非能率性
インターン制の廃止が米国で1966年に勧告された1)理由は,インターン制が不必要ということではなく,米国の医学教育は学部のベッドサイド教育が非常に強力に実施されるので,現場訓練プログラム(clerkship,preceptorship)を加えて,従来のインターン訓練の実質は医学部卒業までに修了してしまっていると判断したからです.その結果,米国の総合臨床医の卒後教育は3年間の家庭医学レジデンシーで修了し,専門医試験を受けることになります.この濃厚,強力な訓練を経て実地診療にたずさわる家庭医で,この訓練課程が不十分であったと答えた者はわずか3%であり,75%は十分であったと答えています2)し,レジデンシー開始9カ月後に受ける臨床能力(clinical competence)評価試験(National Board of Medical Examiners Part Ⅲ)で,学部在学中(Part Ⅱ)より上昇したのは家庭医学レジデントのみである3)という実効が示されています.
もう1つの勧告は,学部卒後直ちにレジデンシーに入る場合,他専門科レジデンシーと共通する部分を病院全体の責任で共通に訓練することにより能率と協調をあげようということでした.
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