天地人
卒業年次を止揚しよう
竹
pp.1387
発行日 1983年8月10日
Published Date 1983/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402218399
- 有料閲覧
- 文献概要
私という人間は,もともと甘いせいもあるが,よほど「書くこと」が苦にならない,あるいは好きなのかもしれないと,自分でなぐさめている.本の序文というむつかしい文章も,ずいぶんと,頭をひねって書いた経験をもっているが,この「天地人」という随想は,執筆をひきうけたものの,あとで悔いた.テーマがあたえられない短文をコナすことが,たいへんむつかしいことは,骨身にしみているはずなのにと思う.
いま,この短文は,東京にむかうジェットのなかで書いている.このところ,病院の管理職で,ペンを握ることだけに専念できるという,臨床研究者にとって最大の喜び,楽しみをうばわれてしまっている.毎日,多くの人と会って,ハンコを押すことで,時間が失われてゆく.部厚い本を,片っぱしから読み通した若い時代を,もう一度取り返したい.
Copyright © 1983, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.