今月の主題 内科医に必要な救急治療
救急治療の実際
消化管出血と穿孔
岡部 治弥
1
Haruya Okabe
1
1北里大学医学部・内科
pp.948-949
発行日 1983年6月10日
Published Date 1983/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402218307
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消化管出血
消化管出血は第一線の臨床医にとって稀ならず遭遇する重篤な緊急事態の1つであり,迅速かつ適切な処置を必要とする.死亡率は多数例の報告で1カ月8%前後である.原疾患はきわめて多く,出血の状態に応じて患者の症状も種々に異なるので,患者救命のためには,まず全身状態の把握と管理,出血源の解明および適切な止血処置を迅速に施行しなければならない.消化管出血の頻度は上部消化管に高く,とくに緊急処置を必要とする大量出血例は上部消化管からのものが圧倒的に多いので,以下上部消化管出血を対象としてその緊急対策を述べる.
診断 病歴聴取は急性出血時には約3分の1の患者で有用な情報が得られるにすぎない.吐血,下血の性状や色調などによって出血部位の推定をする.吐血はトライツ靱帯より口側の出血であることを示唆するが,吐血を欠くメレナのみの場合も上部消化管出血を除外することはできない.
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