今月の主題 呼吸不全—その実態と治療
実態
呼吸不全発生予防の対策
山林 一
1
1東海大学医学部・第2内科
pp.378-379
発行日 1983年3月10日
Published Date 1983/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402218174
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呼吸不全は,呼吸器系の本質的な機能である生体と外界との間のガス交換過程が障害され,その結果Pao2の低下,またはPaco2の上昇をきたした状態である.具体的な数値としては,Pao260TORR以下,またはPaco250TORR以上と定義されている.臨床的にはPao2の低下のみでPaco2の上昇を伴わないⅠ型呼吸不全と,Pao2の低下とPaco2の上昇を伴うⅡ型呼吸不全に分類される.呼吸不全をきたす疾患は多種多様であり,また一つの疾患をとっても,その病期によって異なった病相を呈する.Pao2が低下,あるいはPaco2が上昇はしているが,上記の定義に入らない潜在的な準呼吸不全状態の患者が重症化すれば,当然のことながら呼吸不全の状態に陥るのであるから,呼吸不全発生予防の対策としては,原疾患の適切な管理と治療によって疾患の重症化を予防することが基本である.疾患の重症化を防ぎ,呼吸不全への進展を予防する方策としては,患者の生活指導管理を含めた一般的なケアと,原疾患に特異な治療が考えられる.後者,たとえば気管支喘息の重症化の予防,あるいはCOPDの急性憎悪の予防などについて詳しく述べることは避け,ここでは呼吸器疾患による呼吸不全発生の予防の一般的対策について述べることにする.
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