米国家庭医学の発展・4
プライマリ・ケアの普及をなにが阻害しているか—GPレジデンシー失敗の教訓
木村 隆徳
1
Takanori Kimura
1
1医療法人財団尚温会伊予病院
pp.2634-2635
発行日 1982年12月10日
Published Date 1982/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402218092
- 有料閲覧
- 文献概要
真に包括的診療をより広く普及するために問題となる点が3つあります(表).第1はプライマリ・ケア医の医療社会における地位が低いことであり,第2はプライマリ・ケアなるものの適切な概念,したがって教育の機会が十分でないこと,第3は実地診療の状態の問題であります.
このうち,第2の教育概念に関しては次第に関心と理解が高まりつつあると思われますが,総合臨床医の正式な教育は日本においては一昨年やっと開始したばかりであります.米国では家庭医学なる総合臨床科が正式に発足してすでに13年目となり,全米の医学部の88%に設置され,家庭医学専門医養成のためのレジデントは急速に設置拡大され,そのレジデンシーの数は内科に次ぎ米国第2番目に多く386を数え,レジデントの数は内科,外科に次ぎ第3番目で6,344名で(レジデント1年生のみをとると第2番目に多数),これは全米レジデントの10.3%(レジデント1年生のみでは13%)を占めます1).
Copyright © 1982, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.