今月の主題 内科医に必要な泌尿器科の知識
検査法の知識
膀胱機能検査
小柳 知彦
1
Tomohiko Koyanagi
1
1北海道大学医学部・泌尿器科
pp.2518-2519
発行日 1982年12月10日
Published Date 1982/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402218068
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尿を失禁なく不随意下でも保持し,排尿に際しては随意的にスムーズに残尿なく完結させるのが本来の膀胱機能である.このためには末梢,脊髄,さらに高位中枢を含めた神経機構,および膀胱,尿道,括約筋などの解剖学的構築のいずれもが正常で,さらにこれらの下部尿路機能にあずかる神経筋機構が一体となってorderlyに運営されなければならない.
尿失禁(failure of holding urine),排尿障害(failure of emptying bladder)などの膀胱機能異常は以上の神経・筋機構のいずれに障害があっても生じうるもので,その原因はきわめて多岐にわたる.膀胱機能障害が再発性・難治性尿路感染症の原因となったり,膀胱尿管逆流(VUR)を介して,あるいはしからざる場合でも,腎盂腎炎,萎縮腎,高血圧,腎機能障害などの重篤な尿路合併症の主因ともなりうるから,膀胱機能異常の臨床的意義は大である.一方種々の内科的疾患,とくにShyDrager病,Parkinson氏病,多発性硬化症などの神経内科的諸疾患の初発症状が膀胱機能異常であることも稀ではなく,その意味からも膀胱機能検査にて異常の有無を的確に把握,処置を講ずることが重要となってくる.
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